注目!ハーベストに挑む農業界の先駆者たち

新しい農業ビジネスの創造を目指す、ハッカソン「AG/SUMハーベスト」が17日、東京・港区の虎ノ門ヒルズで始まりました。国内外から総勢119人が集結。農業者やデザイナーやエンジニア、大学や県、金融業界の農業関係者、日本青年会議所(JC)といった幅広い分野の人々が、農業とそれを取り巻く産業の課題解決に向けて、不夜城と化した森ビルで昼夜を問わず議論を繰り広げています。

 チームづくりについて17日の段階では、まだできていない人はいるものの、大半はすでに結成したメンバーとともに参加。そのうちのひとつ東京大学大学院農学生命科学研究科の岩田洋佳准教授率いる同大学の有志チームは、米国で産地化が急速に広がっているピーカンナッツについて、日本国内で大規模に生産するシステムとその商品化やブランド化について検討しています。

 ピーカンナッツはクルミ科の落葉高木から取れるナッツ。同チームが、おいしくて食べやすいほかに注目しているのは、アンチエイジングに期待される抗酸化成分を多く含んでいる点。加えて栽培は粗放的でも十分に育つことから、高齢化とそれに伴う大量離農で多くの農地が放出されてくるこれからの時代の日本農業にとって、最適の作物とみています。

 岩田准教授は作物の生産性を上げるには、統計学や遺伝学、情報学、育種学などを総合して立ち向かう必要があると考えています。ピーカンナッツの栽培についてもドローンやIoTセンサーなどでデータを収集し、より生産性の高い手法を生み出すつもりです。

 日本がバナナ輸出国になる―。こう主張する岡山市の農業法人D&Tファームは、「凍結解凍覚醒法」という独自の栽培技術で日本国内でもバナナを生産することに成功しました。しかも海外産地よりも高収量に、です。この栽培技術では、バナナの苗をマイナス60度で凍結し、それを解凍したものを植えるといったもの。これにより、バナナだけでなく、パパイヤや珈琲豆、黒コショウなども日本で安定生産することを実証しています。同社は、栽培の最適化をはかるため、この技術と融合させるAIの専門家を求めています。

 株式会社ラジアントの杉浦武雄代表はハウス内の作物を赤外線で加温する省エネのシステムを考案。その実用化に向けてパートナーを探しています。

 このほか多かったのは離農や耕作放棄地といった問題をどう解消するかということ。耕作放棄地を解消した市民農園の全国展開、離農した農家による新規就農者への営農指導などの案が持ち上がっていました。

 参加者はプレゼン&審査まで残す1日でどこまで追い込めるか。日本の農業、さらには世界の農業に強烈なインパクトをもたらすビジネスの種が登場することが期待されます。

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